今回の診療報酬改定で2月にいきなり発表された、地域移行機能強化病棟入院料は長期入院患者の退院促進の切り札といえます。
しかし、高い点数とは裏腹にかなり厳しい施設基準が設定されており、病院が導入に踏み切るかどうかは難しい判断になると想定されます。
本号では現時点で分かっている施設基準を整理し、病院における課題とリスクについて検討したいと思います。

ポイント1 診療報酬の基本構造は精神療養病棟入院料と
同じだが点数はかなり高い!

本入院料の加算は精神療養病棟入院料と同様、重症者加算などで点数も同じですが、入院料自体の点数は1,527点(精神療養は1,090点)とかなり高く設定されています。
また、人員配置基準の15対1も変わりませんが、看護職員以外に退院支援に関わる人員として作業療法士又は精神保健福祉士の配置を求めるとともにその比率も60%以上となっています。

ポイント2 病床削減が前提の施設基準!
遅々として進まない精神病床の削減は進むか?

本入院料の届出時に、稼働率が90%に満たない病院は病床削減を求められるとともに、1年あたり当該病棟の届出病床数の20%を削減することが求められます。
入院単価が低くてもベッド稼働率を高くして病院経営を維持してきた病院にとっては、かなり厳しい選択を迫られることになるのではないでしょうか。

ポイント3 「構造改革で実現される将来の病院像」に
明確に位置づけ!将来のリスクも!?

今回の入院料は「構造改革で実現される病院の将来像」に明確に位置づけられており、精神科病院における長期入院患者の解消は待ったなしの状況といえます。
長期入院患者を抱えたまま病院を経営しつづけることは、将来的に大きなリスクを抱えることになるでしょう。

構造改革で実現される将来の病院像(イメージ)