第53回日本病院・地域精神医学会を聴講して その2「うつ病対策」

気がつけば、以前よりも頻繁に「うつ」という言葉を使うようになったが気がします。

「○○さん、最近ちょっとウツ入っているよね」「今ちょっとウツだから・・・」

というように。精神科外来受診者数の増加にも一役買っているというのは、

確かに「普通の風邪でも放っておけば悪化するのだし、心が風邪をひいたなら、

今はちゃんと治るものなのだし、早いうちに治した方が良い」と考える人が増えてきたからでしょう。

誰にでもなる可能性がある病気で、治療すれば治る、という啓蒙活動の効果が現れてきたともいえます。

私自身もストレス度チェックなどこっそりやってみると、かなり高リスクという結果が出てしまうので、

いつなってもおかしくないから気をつけよう、と思っています。

それでもうつ病に苦しんで自殺する人の気持ちまで理解できるわけではないですし、

施設計画を考える中で自殺防止対策というのは必ず検討しなくてはならない重要な点だと思っています。

 

座長にあさかホスピタルの佐久間先生と不知火病院の徳永先生、発表者の中に松原病院の松原先生がいらっしゃる!

ということもあり、「自殺防止から考えるうつ病対策」のシンポジウムを聴講させていただきました。

最初に、松原先生からストレスケア病棟での自殺者数の少なさ、

在院日数の短さなど治療効果の高さが患者さんにとっても治療意欲も高まるし、

医療従事者の意欲向上にもつながっている、という発表がありました。

その後松原先生から、従来主流であったメランコリー型は少なくなり、

自己愛型等の新型のものが主流となっているため、どのような対応をしていくべきなのか、

という課題提起がなされました。

「頑張って」と言えないものから、「頑張って」と言わなければならないものに変わってきているとのこと。

ここで「新型うつ病」とか「自己愛型うつ病」の説明について、「傷つくことを極度に恐れていて、依存心が強い」

とのコメントがあって、思わず(耳が痛い・・・というか自分もその傾向がかなりあるなぁ)

と反省しながら聞きました。

新型うつ病の患者さんにとっては、入院が治療というよりも現実逃避の場になってしまいがちなので、

心理教育が重要だという指摘が看護の方からありました。

治療についても統合失調症に用いられる抗精神薬が有効であることや

認知行動療法のような10人程度のグループ活動が有効との指摘がなされていました。

ただし、認知行動療法は上手に行わないと誤った認知に導いてしまうリスクもあるとの話もありました。

 

治療空間としては、最近のストレスケア病棟のアメニティが有効であること、

また一方で、自殺防止の観点からは施設上の対策を優先させすぎて、患者のプライバシー保護を損なうよりも、

きちんとした見守りこそが防止の有効手段であるとの指摘がなされていました。

 これからのストレスケア病棟のあり方を考える上で、非常に意義深く、勉強になりました。

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