ダイアログ・イン・ザ・ダーク

「暗闇を体験する」半年ほどの前に新聞で目にした紹介記事が心に残っていました。

そうやって興味を持ったものの、実際はどういうイベントなのかを知らないまま、体験してきました。

記事を読んだ直後に調べた時には、チケットが思っていたよりも高かったことと、予約が埋まっていて

断念したことすら忘れてかけていたけれど、夏休み直前にふと思い出し、予約を入れて参加してきました。

http://www.dialoginthedark.com/index.html

 暗闇、という言葉のイメージはいろいろあるけれど、完全な暗闇に身をおいたことは今までありませんでした。

暗くて周囲が見えにくいこととまっくらな闇は似ていているようで異なるように感じました。暗闇の中を

視覚障害者であるアテンダントに案内してもらうイベントである、ということは頭の中では理解しているつもりでした。

百聞は一見にしかず、とは言いますが今回は百聞は一体験にしかず、というべきでしょうか、

貴重な体験ができたと思います。見えにくさによる困難なら眼鏡を外した状態から想像がつくのですが、

何も見えないこととの不安には及ばないと感じました。

私が参加した回は八人の参加者に対してチーフアテンドの方一名とサポート役アテンドの方の十名一組でした。

参加者は入口で自分の身長に合った白杖を渡されます。初めて持った白杖!思ったよりも軽く、何かに触れると

振動が身体に響いてくる感じが新鮮でしたが、でもこれだけで知らない場所に出かけるのは心もとなく思いました。

私は最後まで白杖をワイパーのごとく左右に動かしながら、こわごわとしか歩けませんでした。

頼りになるのは白杖と聞き手と反対側の手の甲とアテンド役の声でしたが、見えないのに、無理やり何かを見ようと

きょろきょろしてしまうし、ガイドを受けても、例えば「左に壁があります」、と言われても列の後方にいたりすると

まだ壁まで到達していなかったのでしょうが、何も手の甲で感じられなかった時はすごく不安になりましたし、

「丸太3本分の橋があります」、と言われても、橋→高い?→丸太三本では幅が狭くて落ちるかも、

と連想し遅れてしまったりし、小心者な私は多分一番のお荷物でした。

それでもなんと、優秀なアテンドさん達のおかげで無事に暗闇の中を探検することができたのです。

紐を結ぶタイプの靴を履いてきてしまったことを後悔しながらも、靴を脱いで座敷に上がって戻ってきたり、

ジュースで喉の渇きを潤したりすることができました。

的確な言葉かけ、言葉出しの重要さも身にしみました。多くの日本人は、特に東京周辺地域では知らない人には声をかけないのが

普通だと思って暮らしているので、声を掛け合う事に抵抗があるらしく、

私は怖がって一人でいろいろ言葉にして説明していたのが浮いてしまっていたけれど、

だんだん他の人も声を出してくれるようになってほっとしました。気配を感じ取ろうとはしても、

忍者の修行ではないし、いきなりそれを期待されるのは難しいです。そういえば、このイベントのタイトルはだからこそ

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」なのですね。

最後の感想をシェアする場面で他の参加者の方が、

「見えないから声をかけられるようになったけれどだんだん薄暗がりになってくるともう言葉にするのが出来なくなる」、

と言っていました。またアテンドの方が、明順応のための薄くらがりの部屋に入る前に、

「これで皆さんに私のディテールが分かってしまうのが残念です」と言った一言と、

その直後に立場が入れ替わる瞬間の体験は一種の衝撃でした。

日常の中に戻った瞬間に、では、自分が上手にガイドできるかというとそうではないこともショックでした。

一言で言えば修行が足りない、のでしょうけれど。

自分は五感を使っている方だと思っていたのは錯覚だったのかもしれません。

それくらいいろいろと新鮮な体験でした。チケット代は(私には)高額だし、予約もとりづらいけれど、

できればまた体験してみたいですし、もっと感想と他の人とシェアしてみたいと思うので、

周囲の人にお勧めしたいと思います。

ヨーロッパでは常設されているそうですが、日本でもそうなる日が来ることを望みます。

アテンドの方々、スタッフの方々、貴重な体験をありがとうございました。

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