受講記録ノートより 「がん医療」 垣添忠生先生と本田麻由美記者
2008年5月23日 国際医療福祉大学院乃木坂スクールにて
「がん医療」というテーマで、読売新聞 社会保障部記者の本田麻由美さんと、
国立がんセンター名誉総長 垣添先生のお話を聞く機会を得ました。
本田記者は若くて可愛らしくて聡明で生き生きとした方なので打ち明けられなければ御自身ががん患者サバイバーであることを感じさせません。
本田記者の記事は全部ではないにしろ連載を読んでいて勇気のある方だと感じていました。実際に御本人からお話を聞くと、体験者でなければ分からない苦悩を乗り越えて戦い続けている方の、より切実な訴えとして、心に迫るものがありました。本田記者のお話は「患者の果たした役割と今後の展望」として御自身の体験と、委員として係られたがん対策推進協議会について、またがん対策の先進国であるアメリカの患者団体の活動を紹介していただきました。がん対策基本法の成立の意義とそれからの展開の速さには、患者団体が連携し政治や行政を動かすことができたのが大きいと感じました。実際にまだ十分ではないにしても、以前よりも一般向けのがん情報なども充実してきたように思います。国立がんセンターのがん情報サービスのページもより分かりやすく使いやすく整備されたと思います。
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/index.html もちろん実際に必要に迫られて情報を集めると、それをどう判断するのか、結局どこに行くべきか、など悩みは尽きないということを経験しました。ただ、今まで頑張って下さった患者団体の方々は、もっと情報も何もない中で決断し行動しなければならなかったと思うと、それだけでも大変な苦しみであったと思い馳せました。その中で、誰か偉い人がなんとかしてくれるわけじゃないから、自分達でなんとかしよう、という思いで立ち上がった方々の尽力された結果、その恩恵に与っていることは感謝していますし、だからこそこの流れを止めてはいけないとも感じました。本田記者は、今よりもがん患者が増えると予測されている中で、今後は患者団体のあり方も、患者の声を社会に伝えるという役割の重要さに加えて、よりよい社会支援体制を作るための患者団体自体の運営力の強化が必要になってくるのではないか、と結ばれました。
本田記者に続いて、国立がんセンター名誉総長 垣添忠生先生から「わが国のがん診療とがん対策」というテーマでお話を伺いました。がんとはどういう病気か、がんの予防と検診、がんの診断と治療、人が生きるということ、わが国のがん対策についての五つの項目を短い時間ながら重要なポイントを非常に分かりやすくご説明いただき、理解が深まりました。非常に驚いたことの一つにこれは同一人物の検査結果です、と超音波画像とPET検査の画像を見せて下さったのですが、エコーには怪しい影がありがんの疑いがあるけれどPETには見られない、けれど念のため病理検査をしたらやはりがんであることが分かった、という事例を紹介して下さいました。実はその患者さんは垣添先生御本人で、その後すぐに入院され1週間で退院し翌週にはジュネーブで開催されたWHOの総会に出席できたとの事でした。まさに、早期発見早期治療が大切です!というお手本ですが、自分も含め実際に自覚症状がなければ検査を受けに行かない人がまだ大半なのではないかと思います。そう思いながら聞いていると先生はがん対策基本法の中に第6条(国民の責務)http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0405-3a.pdf
「国民は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を持ち、がんの予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、必要に応じ、がん検診を受けるよう努めなければならない。」と定められている、と教えて下さいました。がん登録についても個人情報保護法との絡みの問題があるけれどやはり必要だということや、情報整備の必要性、また最後に、それらの正しい情報や整備ができていても実際の行動に結びつけることが一番大切なので、国としてはその行動を後押しするための予算をつけていくことが必要だ、と述べられました。
本田記者のお話も垣添先生のお話も、もっとゆっくり時間を割いて語っていただきたい密度の濃い内容でした。
- 2008/7/16 in
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