よみうり健康フォーラム 彩都友鉱会病院の開院を記念したフォーラム

医療法人友紘会グループが、民間病院としては西日本初となるがん医療に特化した病院http://www.saito-yukoukai-hp.jp/index.htmを大阪府の彩都ライフサイエンスパク内に今秋9月に開院されますが、その開院を記念して読売新聞大阪本社と共催で健康フォーラムを開催されました。

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医療法人友鉱会の林豊行理事長先生の基調講演「がん医療の現状について」、大阪大学医学部付属病院放射線治療科科長 井上武宏先生のご講演「放射線治療の今日と明日」、会場からの質疑応答の後に行われたパネルディスカッションでは「がん治療のこれから~緩和ケアについて考える~」をテーマに紀和病院緩和ケア科部長の後明郁男先生、静岡がんセンターがん看護専門看護師の高橋晃子先生も加わって誤解されがちな緩和ケアについての解説を交えての発表がありました。

 

基調講演で林理事長先生は、がんと共に生きる時代になった今、これからのがん医療について語っていただきました。80年代後半から日本人の死因の第一位であり、3人に1人はがんで死亡しているのに、日本のがん医療はアメリカに比べて遅れていること、また高齢化時代となり、ますますがんの発症率は高くなっていく中でがんと共に生活される患者さんが増えていく時代となったのに、なかなか十分な治療が受けられないのが現状であること、特に関西地区のがん医療の地域格差を埋めるべく、トップレベルのがん医療を提供したいという使命感をもって新しい病院を開院された理事長先生の熱い思いを感じました。「切らずにがんを治療する」低侵襲治療である外来化学療法と最新の治療機器 http://www.saito-yukoukai-hp.jp/EQUIPMENT/equipment_t.htmを導入して行う放射線治療をメインに、ライフサイエンスパーク内という立地を活かした先端治療の治験への取組み、緩和ケア科、総合外来など、最新のきめ細やかながん治療を提供できる病院として、がんと共に暮らしていく患者さんや家族の方々の頼もしいサポーターとして期待されています。

大阪大学医学部教授の井上先生 http://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/category/27.phpからは、放射線治療の基礎知識から日本と海外の治療事情の違いなどについて分かりやすくご説明いただきました。日本の放射線治療はまだ欧米に比べて遅れていて、国公立大学の医学部に放射線治療学講座は13ほどしかないことや、がん治療においては外科手術がメインだったために、欧米では放射線治療が選択される子宮頸がんの治療について30年前と同じ教科書で子宮全摘が推奨されているというのはショックでしたし、前立腺がん治療については外科手術も放射線治療も再発率に差がないこと、放射線治療が効きやすい癌と効きにくい癌があること、などを歯切れ良く解説していただきました。骨転移に対する疼痛治療としての放射線治療の効果についても約8割の方に効果が出るのはすごいと思いました。治療技術以外の問題で、ベトナムのホーチミンがんセンターでは病床稼働率300%で、外来ではコバルト3台で一日350人を治療しているとのお話や、保険制度の違いによって治療方法も変わってくるという話には考えさせられました。最新の医療技術の進化とともに、最適な治療方法も変化していくというお話の中で、「常に『なんでやねん、ほんまかいな?』と自分で考えなさい」、という先生の言葉が印象に残りました。

紀和病院の緩和ケア科部長:緩和医療研究所所長でおられる後明先生 http://www.nanroukai.or.jp/care/index.htmlからは、緩和医療学について、緩和医療・ケアとターミナルケアに対する誤解や、がん終末期の症状とそれらの症状に対する緩和医療について丁寧に分かりやすくご説明いただきました。後明先生は「緩和医療は、計画的な治療方針と的確の効果を目指しているもので、対症療法とは一線を画すものであること、死に近い方がこの世にお別れを言う瞬間まで納得して懸命に生き抜いていただくためのお世話であって医療を超えた社会運動がターミナルケアであり、そのターミナルケアの中で大切な働きをするのが緩和医療である、と定義されました。がん終末期の身体症状と精神症状のうち、全身倦怠感というのは、疲労状態とは異なる身の置き所の無いだるさであり、呼吸困難に匹敵する辛さであり、緩和医療の中で一番難しいものであること、痛みの緩和は緩和医療でかなり和らげることが可能な症状になったことや消化器症状も新しい薬剤で緩和できるようになってきたことや、精神症状には緩和ケアマインド5原則で患者さんの心に寄り添いサポートすることの大切さを教えていただきました。

静岡がんセンターhttp://www.scchr.jp/のがん看護専門看護師(がん看護専門看護師さんはまだ日本で79名しかいないそうです。)  http://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/senmon/touroku.htmlの高橋晃子先生からは、緩和ケアの種類やどこでどんなケアを受けられるのかなど患者さんの視点を意識した解説をいただきました。緩和ケアは患者さんとご家族が自分らしい生活を取り戻すため、QOLの向上・維持していくためのケアであること、緩和ケアの種類(一般病棟での緩和ケアチームによる緩和ケア、緩和ケア病棟、在宅緩和ケアなど)によっても違うけれど患者さんや家族の様々な悩みや苦痛を緩和できるように医師、看護師、社会福祉担当者、ボランティアなど様々な職種によって構成されていること、またがんと診断された時からいつでも受けることができ、治療の妨げにはならないこと、費用面のお話や、静岡がんセンターの緩和ケア病棟や緩和ケアチームの紹介など写真を交えての説明はより実際の緩和ケアをイメージしやすくなどを分かりやすく、がん治療への恐怖感や緩和ケアを受けることへの誤解や不安が少しでも解消されるのではないかと感じました。

パネルディスカッションでは、各パネリストの先生方から、今後外科医が減ってしまうことが予測されているのに、現状でも足りない放射線科医をどうやって増やしていけるか、またがんの告知の問題について、治療や副作用を乗り越えるためにも告知は必要ではないか、これだけの情報化社会で隠しとおすことができるのか、がん医療・緩和医療の専門家育成について、まだ育成機関が少ないこと、今年度から応募が始まる文部科学省のがんプロフェッショナル養成プラン http://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/06091508/049.pdfにおいて放射線治療医、腫瘍専門医、緩和ケア医、がん看護専門看護師、医学物理士、などを育成していく教育機関+医療機関を選別して助成するプログラムに期待しつつも、民間でも専門家を育成していくべきであること、WHOが1986年に定義した緩和医療が日本では浸透していないけれどがんの痛みは緩和できるということ、放射線治療という選択肢があることなどを知ってほしい、日本では欧米で認可されているワクチンなどが承認されておらず治療の限界があるケースがあるが、それを患者側から国に訴えていくくらい、勉強していって欲しい、などたくさんの意見が出ました。パネルディスカッションを含めて、あっという間に時間が経ってしまったように感じました。がん治療に対して新たに学んだこと、曖昧な知識や考え方が整理でき、実り多いフォーラムでした。

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